今から何年前になるかしら。
24歳、女ざかりというのに、結婚の予定はおろか、彼氏すらいなかったふがいないワタシ。
就職して4年目、実家在住。小金もあるし、時間もある。そんな女がハマるのが、そうオケイコ事。

ということで、パン教室に通っていたワタシ。悪友には「パン教室じゃあ、出会いは望めないじゃん、スポーツクラブとかテニスとかにすれは?」とからかわれた。予告どおりふがいない状況が続き、1年半くらいパン教室に通ってしまった。

その間にいろんなパンを焼いた。アンパン、カレーパン、バターロールなど初歩的なものから、パン・ド・カンパーニュ、クロワッサン、ブリオッシュなどちょっと難易度の高いものまて。うちのオーブンじゃパンが焼けないワ、と母親にねだって高いオーブンも買ってもらった。

ところが教室以外ではあまりパンを焼かなかった。イイワケになるけど、機材がそろってないといろんな種類のパンは焼けない。型だって何種類もあるし、フランスパンなんてオーブンの中で石を焼いて、水をぶっかけ蒸気を出したりするのだ。家でやったら事故になる。それに、24歳遊びたい盛り。週末パンでも焼こうかなーと思っていても、やれ飲み会だ、スノボだと誘われたら、もちろんそちら優先だ。

母親に「オーブン使えや」とイヤミを言われても、なかなか自宅でパンを焼かなかった。その後一人暮らし、オーブンがなかったこともあり、だんだんパンから遠ざかっていった。

しかし、最近教室時代のテキストを母親が見つけてきてくれたのだ。
開いてみると、懐かしい・・・いろんな記憶がよみがえってきた。
そんなふうに昔を思い出し、昨日パンを焼いてみた。
すっかり忘れてることもあるし、チビたんをあやしながらのパン焼きはなかなか大変で、なんだかんだと半日作業になってしまった。

でも、パンを焼いてるときのあの幸せな香り。焼きたてパンの香ばしい味。
やっぱり手作りのパンは美味しいや。
調子こいて近所のママさんたちにも配っちゃった。

チビたんがいる分、頻繁にはできないけどたまにはパン焼き復活してみようかな。
そういえば、24歳のあのときも「いつか専業主婦になったら手作りのパンで朝ごはんだ」
なんて思ってたっけ。何事も無駄にはならないもんである。

ぱん